ある受任者の独り言
ギョーザの好きな人でした
天丼の好きな人でした
カキフライの好きな人でした
魚はマグロしか食べられない人でした
笑い声がとても可愛い女性でした
お手伝いしていた高齢の方が2020年5月10日、他界しました。99歳でした。
2018年4月、死後事務委任についての問い合わせをいただきました。
翌日、面談をしました。「声が若かったから、もっとお若い先生かと思いました。」
ちょっとキツメの一言からの出会いでした。
当時97歳、お一人で電車に乗り杉並区にある菩提寺にお墓参りをするお元気な方でした。
8月に電話をした時に、「腰を打ち、買い物や薬局に薬を受け取りに行けない。」とのことでしたので、薬の受け取りと食料の買い物代行をして、昼食をご一緒しました。その後2~3日、お弁当を購入し届けました。それからしばしば、「お昼ご飯食べに行きませんか」とお声がけいただくようになりました。
バツイチで、一人暮らし。
御長男と自転車に二人乗りをして、映画を見にいったことなど楽しそうに話してくれました。
その御長男を数年前に病気でなくされ、御長男の死後1ヶ月ぐらい入院されたことなども。「私が看取ってもらうより、私が看取ったのが良かったよね。」とよく話していました、自分に言い聞かせているように私には思えました。
2019年8月頃から、認知症的傾向が強く感じられました。
「お風呂のシャワー、どうやって点けるんだっけ?」と。
要支援1でしたが、再認定を受けて要介護4になりました。
一人での生活は困難と思えたので、施設に入所しました。
11月頃からは
「今日は何日?」
「〇〇月△△日だよ」
「今度いつ来てくれるの?」
「3日後だから、◇◇日ね。」
と答えると
「今日は何日?」
「〇〇月△△日だよ」
「今度いつ来てくれるの?」
「3日後だから、◇◇日ね。」
と答えると、また
「今日は何日?」
「〇〇月△△日だよ」
と、カレンダーで示しても繰り返し繰り返し聞くようになりました。
2020年2月、「新型コロナウィルス感染防止のため面会を控えていただきたい。面会ができるようになったら、連絡します。」と、施設から電話をいただきました。
必要と連絡あったものは、受付に預ける形で数ヶ月経ちました。
連絡がありました、亡くなったと。
2月以降面会できないまま逝ってしまいました。
後見人だったら、面会できただろうか。
コロナ禍じゃなかったら、面会できただろうに。
そして、長寿って何だろうと。
引きずっています